労使紛争

労使紛争について

労使紛争とは大別して個別的労働紛争と集団的労働紛争があり、係争する対象に応じて使い分けます。
この労使紛争に悩まれる経営者の方も多くいらっしゃると思います。しっかり理解を深め、対策を打ちましょう。

労使紛争の基礎知識

1労使紛争とは
企業組織再編や人事労務管理の個別化等に伴って増加している、労働関係事項に関する、個々の労働者と事業主との間の紛争を指します。
2急増する労使紛争
企業組織の再編や雇用・就業形態の多様化・個別化などにより、退職の強要、いじめ・嫌がらせなど労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争が増加しています。
このため労働紛争の未然防止、迅速な解決促進を計るため、当事務所は、労働問題に関する高い専門性を生かしたサポートを行っております。
労働トラブルでお悩みの、事業主の皆様、お気軽にお問い合わせ下さい。

労使紛争の種類

1集団的労使紛争
大別して労働組合などの労働者の団体と使用者(事業主)との紛争(集団的労使紛争)があります。
以前は案件が多かったのですが、最近では、組合員数の減少などによって、集団的労使紛争は減少傾向にあります。
2個別的労使紛争
労働者個人と使用者との紛争(個別的労使紛争)があります。
解雇、残業代などの不払いなど個人の労使紛争が非常に増えてきております。
その増加によって、集団的労使紛争に代わって、個別的労使紛争が増加傾向にあります。

労働審判制度

1労働審判制度とは
労働審判制度とは、平成18年4月1日から施行されている比較的新しい制度です。
労働審判は、労働契約などに関する労使の紛争につき、裁判官1名と専門的知識をもつ労働審判員2名で組織する労働審判委員会が、調停を試み、解決しない場合に、審判によって実情に即した解決を図る制度です。
2労働審判の対象になるトラブル
労働審判の申立ができるトラブルは、労働者個人と使用者間で生じた労働に関する紛争が対象になります。具体的には、解雇や賃金カット、残業代の未払いなどがあります。
労働者全体として争うものは労働審判の対象にはなりませんし、労働者と使用者間の借金などのトラブルも対象にはなりません。
3労働審判のメリット
労働紛争がこじれた場合、これまでは訴訟が利用されてきました。
訴訟は弁護士に依頼しなければならず、非常に高額の費用がかかります。訴訟は非常に時間がかかる場合もあり、第一審の審理が終わるまで1年以上かかる場合も多くあります。
労働審判では、原則として3回以内で審理が終了するとされているため、迅速に解決を図ることが可能とされています。審理は、約1ヶ月おきに行われ、3回の審理ですから3~4ヶ月あれば終了します。
4労働審判制度の目的
労使間の紛争の実情に即して、迅速・適正に解決を図ること

当事務所の対応

1労使紛争の事前対策
労使紛争で多いのは、解雇、有給休暇の取得、そして残業代未払いです。
事前対策として、有給休暇の取得と残業代未払いの労使紛争について解説致します。有給休暇の取得を巡る労使紛争としては、従業員が請求したにも関わらず上司が認めなかったといったものです。従業員には時季指定権(休みをいつ取りたいと指定する権利)がありますが、反面、会社には時季変更権(その日休まれると事業運営上困るので、別の日に変えてほしいと申し入れる権利)があります。
相反する権利がぶつかり合いますので、有給休暇の申請手続きに関し、具体的に規定をしておくことが必要となります。
就業規則には、いつまでに、どのような方法で、誰に届出をするのかといったことを規定しておくことが必要です。
また、残業代未払いについては、まず残業単価の計算式が間違っていることがあります。これも就業規則に具体的な計算式として規定しておいた方がよいです。
その次は、残業見合分として支払っている手当がある場合に、会社は残業代を支払っていると主張し、従業員はもらっていないとして、意見が対立します。
手当であってもそれが残業代見合分であればそのように就業規則に規定すべきです。そのような明確な規定がないと残業代がしはらわれていないとして請求を受けます。
また、基本給に残業代がある程度織り込まれているケースもありますが、これはできれば避けた方がトラブル回避となります。織り込んでしまっている場合には、何時間分が織り込まれているのか、具体的な時間数を明確にしておく必要があります。
2労使紛争の事後対策
続いて事後対策についてですが、解雇事由が就業規則に列挙してあるかどうかがポイントとなります。
懲戒解雇は労働者にとってみれば極刑に当たります。
「これをやったら首ですよ」と事前に明確にしておかないと、後で「知らなかった、聞いてない」ということになりかねません。
そうなると「悪いことをしたことは認めるが、解雇は重過ぎる。今回は始末書を出しますので、次回以降ということになりませんか。」というケースもよくある話です。
そこで改まればよいのですが、同じ過ちを繰り返されてしまうこともあります。その場合、今度こそと思っても「前回と同じことをしたのにどうして前回は始末書で今回は解雇なのか?」という主張をされてしまいます。それで、結局今回も解雇できず…。悪しき前例として積み重なって行ってしまいます。
そもそも、このようなケースの問題はどこにあるのでしょうか?ズバリ、就業規則の規定(懲戒解雇事由)、周知徹底がされていないことです。
普通解雇であれば、社会通念上解雇相当な事由であるとか、例示列挙であってもよいわけですが、懲戒解雇の場合は、具体的事由を限定列挙すべきです。
そして、それを従業員に周知徹底させる必要があり、従業員がいつでも閲覧でき得る状況にしておかねばなりません。もし、解雇事由が発生した場合は、「就業規則第何条の規定による」として、当該従業員にも示す必要があります。
このようなことから、解雇トラブルを未然に防ぐには、就業規則の整備が必須と言えます。
当事務所では、労使トラブルを未然に防ぐ就業規則を作成しております。
また、トラブルが起きた後でも今後の労使トラブルを防ぐ就業規則のサポートや現状ある就業規則に対してのチェックサービスも行っています。
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